ペルシャ絨毯 文様に宿る歴史・文化 ~2~

アラベスク文様
「アラベスク」とはアラビア風の意味で、渦巻状の唐草の先に花を置き、二股に分かれ、どんどんパターン展開されていきます。花は抽象的に表現され、エキゾチックな雰囲気に。それぞれの風土にあった様々なアレンジが加えられ、各地の絨毯に用いられています。

 

糸杉文様
糸杉は西アジアから地中海周辺、やや乾燥した地域に見られる樹木です。乾燥地に力強く伸びる木に、「生命力」「命」「健康」「長寿」などの意味を重ね合わせます。この木の周辺によく動物が描かれることがありますが、自然より、動物の命は与えられていることを内包しているのでしょう。

 

エスリミー文様
渦を巻くようにつながる蔓(つる)を意味しており、薔薇やユリ、睡蓮の花の断面図をモチーフにしています。シルクロードを渡り日本にも伝わり、「唐草文様」と日本人にも馴染み深いデザインとなっています。

 

花鳥文様
絨毯全体が、花は咲き乱れ鳥たちであふれかえり、春の楽園を表しています。イスラム教では偶像崇拝が禁止されていたため、基本的に生き物を描くことはできません。ただ、シーア派イランでは許されているという、宗教上の理由が含まれています。

 

花瓶文様
ゴルダニ柄と呼ばれ、ペルシャ語で”ゴル”は花や異国の花を、”ダニ”は花瓶を意味します。花瓶から薔薇や生命の木が伸びているものもあり、豊かさの象徴です。華やかで明るい方向へ導いているようです