遊牧民に伝わる手織りの絨毯 KILIM

KILIM <キリム>

キリムは、パイルのない平織り絨毯で、厚みも薄く作られています。数千年も前から織られており、中央〜西アジアに住むチュルク族などテント暮らしの遊牧民にとってキリムは必需品でした。間仕切りやドアの代用、家畜に掛けたり、イスラム教の祈りの敷物などに使われました。また、実用的道具としてだけでなく、暮らしに彩りを加える装飾品でもありました。

キリムは羊、山羊、ラクダなどの毛を原材料として、主に女性たちによって織られていました。優れた技術と大変な労力、時間を掛けて、その家族や部族に伝わる伝統的な柄や色調、信仰や習慣や伝説までも織り込んでいました。それらは口伝えで受け継がれ、名もなき遊牧民のオリジナリティあふれる、世界唯一の作品なのです。

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デザインは彼女たちの美意識によります。民族の紋章、草花、魚や動物、幾何学模様などをモチーフとしました。単純で素朴、明快で大胆、強力な色調、民族的風情もキリムの魅力。

キリムの織り方は平織りとしましたが、立体的な模様が出るジジム織り、斜めにも糸を折り込むスマック織り、ジャジム織り、スリット織りなど遊牧民ごとにさまざまな織り方があり、それにより模様の特徴にも違いがあります。