ペルシャ絨毯の製作工程

1作画

細かい方眼紙にデザイン画を描き、彩色します。遊牧民による伝統的な模様にはデザイン画はなく、柄見本(ワギレ)や口承や記憶によって織られます。


2糸縒り

羊から刈り取った原毛は脂肪や汚れがついているので、石鹸とソーダを使い洗います。そして紡錘車を使い手作業で糸を紡ぎます。


3染色

現代では化学染料が使われているところもあるようです。安価で使いやすく時間もかからないためです。また、天然染料の入手が困難になってきていることも一因です。それでも工房によっては今でも天然染料を使って染めています。

〔主な染料〕

赤…茜、カイガラムシ(コチニール)

青…インディゴ

黄…ザクロ、サフラン、ウコン

茶…オークの樹皮、クルミの殻

 

天然染料は繊維の芯まで染まり、色褪せし難いです。長い年月が過ぎ、一層深まっていく色合いは天然の草木染めならではです。

①精錬…糸の油分を洗い除く

②染色…染料と媒染剤に交互に浸す。温度や時間、媒染剤により色の定着が左右される

③洗い…余分な染料を洗い流す


4織り機

織り機には水平型、垂直型、回転式、巻取り式と様々な種類があります。

水平型は四角い箱の枠のような織り機で組み立てや持ち運びに便利なので、遊牧民に用いられました。織り機には縦糸をピンと張りますが、大型のものだと縦糸を張るだけで数日かかります。

 


 

5織り

最初に平織り(キリム)を数センチ織ります。それから下絵や柄見本に従って絨毯を織っていきます。絨毯の結びにはペルシャ結びやトルコ結びなどがあり、縦糸に一本一本糸を絡めて結び目(ノット)を作り、ナイフで切りパイルにします。ノットの列を作り二本の横糸を挿し入れ、鉄ぐし(シャーネ)で組織を打ち固めノットを詰めていく……この作業を繰り返していきます。数列できるとハサミでパイルの表面を切り揃えます。数カ月から数年かけて、一枚の絨毯は織られます。


6洗浄

石の床の上に絨毯を広げ、剪毛で付着した糸くずやホコリ、ムダ毛を大量の水を使って洗い流します。また堅くなっている絨毯を柔らかく仕上げます。ウール絨毯は水で洗いますが、シルク絨毯は塩分を含んだ井戸水を使って洗うことで、色がさらに安定し、柔らかくしなやかに仕上がります。


7整形・乾燥

洗い終わった絨毯は、歪みがあれば釘で固定し形を整え、強い天日と乾燥した空気の下で自然乾燥させます。


8シェアリング(刈り込み)

絨毯の表面をティーグという刃物で刈り込みます。パイルの長さが揃えられ、ここでデザインが鮮明に浮かび上がります。


9ブラッシング

最後の点検を兼ねてブラッシングし、余分な毛を落とします。更にアイロンをかけ光沢を出す(シャイニング)こともあります。