艶めく色の秘密
色は重要なエレメント
ペルシャ絨毯が各国の王室や貴族をはじめ世界中の人々を魅了してやまない理由の一つ、その美しい紋様を表現するための“色”は重要なエレメントです。紡がれた糸は草木染めと言って、イラン高原に豊富に植生する植物由来の染料で染め上げられます。天然染料は繊維の芯まで染まり、色褪せもし難いです。長い年月が過ぎ、色合いが一層深まっていくのが、天然の草木染めの魅力の一つです。
化学染料と天然染料
19世紀末頃アニリンなどの化学染料がヨーロッパからイランに入り、近代資本主義・商業主義の台頭により量産を重視する傾向が表れました。化学染料の方が安価で使いやすく時間もかからないためです。その上天然染料の入手が難しくなってきたことも一因となっています。伝統的製法である草木染めは少なくなり、外形だけが重んじられるようになっていきました。しかし、本来のペルシャ絨毯の美しさ…豊かで深みのある美しい色彩は化学染料からは期待できません。20世紀後期、この傾向を憂い伝統的技法と紋様の復活を目指す工房が現れ、再び草木染めが復活してきました。
主な天然染料
茜 …………………赤
藍 …………………青〜紺
ジャーシール …………橙色
ザクロの皮 ……………淡い黄色
クルミの殻. ……………茶色
茜+藍 …………………紫系
ザクロの皮+藍 ………緑系
………様々な組み合わせと配合率により 限りない表現が可能です
その他、コチニールカイガラムシ、ホソバタイセイ、サフラン、ウコン、ブドウの葉、オーク(ブナ、ナラなど)の樹皮、クロウメモドキなどの天然の染料が用いられています。