ペルシャ絨毯の起源
ペルシャ絨毯の起源は羊を放牧していた遊牧民の生活の中にあります。太古は動物の皮を敷物や衣服としていましたが、羊毛を刈り、フェルト状の敷物がつくられるようになり、糸を紡ぐことができるようになると平織りが可能となりました。そして、徐々にパイル織の絨毯も織られるようになりました。
現存する最も古い絨毯は探検家“ロデンコ”により、シベリア、アルタイ山脈パジリク渓谷の永久凍土から発見されました。縦183cm×横200cm、1㎠あたり36ノットのトルコ結びで織られており、”パジリク絨毯”として知られています。フィールドの文様やボーダーの人馬像文様など、アケメネス朝ペルシャ期のものに酷似しています。一説には紀元前500〜400年頃〜300年ごろに織られたのではないかと推測されます。その後、彼はさらにノット数を上回る”バシャダル絨毯”(小さな断片)を発見しています。それは49ノットのペルシャ結びであり、この時代からすでに二通りの結びがあったことが分かります。それは現在はロシアのエルミタージュ美術館に保存されています。
当初、絨毯を織るための下絵はなく、ほとんどが幾何学模様で、口承によるものでした。ペルシャ絨毯に曲線紋様が使われるようになったのは、都市へ定着した人々が絨毯を織るようになってからのことです。
洗練された曲線紋様が本格的に発達したのは15世紀頃からで、16世紀には皇帝の保護の下、技術的芸術的にも飛躍的に発展しました。下絵を描き、それに従って高密度に織られました。世界で最も素晴らしいと言われている絨毯もこの時代に製作されました。ロンドンのビクトリア&アルバート美術館にある”アルデビル絨毯”(1540年制作1,152×534cm)は、ペルシャ絨毯の最高傑作と称され、当時の技術の完成度を物語っています。五人の織職人がタフマースブ王の命により三年かけて完成させました。それは51.8ノット、毛のパイル、縦横糸にシルクが使用されています。