色の持つ意味

ペルシャ絨毯のデザインや色彩には、伝統的に深い意味合いが含まれています。

単に“カラフルな色”ではなく、赤、黃、青…すべての色に熟練した職人からのメッセージが込められています。そのメッセージを読み取り、込められた意味合いを知ることで、より愛着のあるペルシャ絨毯となるでしょう。

ペルシャ絨毯の青
青は真実、信頼、責任、誠実さ、忠誠心を表す色です。

ペルシャ絨毯では青は力を表すだけでなく、孤独も表しています。

染料はインディゴで、当初ホソバタイセイ(細葉大青)で作られていました。しかし今のパステルブルーに似た色で、長期間安定した色を保ち続けることができませんでした。インディゴフェラ・ティンクトリア(インディゴ植物)を発見することで、深いサファイアブルーを楽しめるようになりました。


ペルシャ絨毯の緑
緑は心理的にバランス、調和、成長を表す色です。なのでペルシャ絨毯では、春や自然の再生、希望や新しい生命といったことを象徴的に表しています。つまり、緑は大変重要な色ですが、とてもよく使われる色とまではいきません。

ペルシャ人にとって緑は預言者モハメッドに関連する神聖な色とされていました。コーランによると、モハメッドはエメラルドグリーンがお気に入りの色だったので、織人は慎重に、そして最も壮大なペルシャ絨毯のみに緑を使いました。

ペルシャ絨毯の緑は、天然成分を使用した二重染色によって発色していました。普通、緑は青と黃の組み合わせで発色しますね。青色は藍で染められ、その後黄色で染められました。黄色の染料は、サフラン、ラークスパー、ブドウの葉、クロウメモドキなど様々です。


ペルシャ絨毯の赤
赤は自信、行動、エネルギー、情熱を意味する色です。人は赤により、感情を刺激されたり、行動を起こす動機付けになったり、暖かく、前向き、活力に満ちていると感じる傾向があります。血や火を表す色です。

ペルシャ絨毯では赤の染料が簡単に入手でき、心理効果が大きいので、たびたび使用されています。
また、職人が強調したいパターンやモチーフに注目させるのにも赤色は利用されました。

 

染料はアカネが濃厚で深みがあり人気でした。他に、カタツムリ、カブトムシ、花、雑草、コチニールカイガラムシ、乾燥ザクロなど多くの選択肢がありました。
カーペットの緯糸用に山羊の毛は染色され、後のとても細かい背景パターンの深紅色を作成するのに役立ちました。

 

ペルシャ絨毯の赤は幸せを呼び起こします。喜び、幸運、勇気、富、活力に満ちた生命力!アジアでは結婚式の日の花嫁は赤を着ていたのもここからでしょう。


ペルシャ絨毯の茶色
茶色は土と地球を表しています。ペルシャ絨毯では肥沃な土地を表す色です。

 

茶色の染料はオーク(ブナ、ナラなど)の樹皮とクルミの果実から得ていました。どちらも東洋で豊富に見られるものです。

 


ペルシャ絨毯の金と黄色
黄色の名前は、金、叫び、同じ語源で暖かい色合いを表します。ペルシャ人は輝き、太陽、人生の喜びと関連付けます。

 

黄染料はザクロの皮、ブドウの葉、サフラン、オックスアイカモミールの花から作られました。

 

金✨はより明るい黄色と茶色を混ぜた色合いです。富と権力を表し、ペルシャ絨毯では控えめに使われ、王族や支配者のために貯えられてました。
純粋に光沢のある金色はカーペットの糸を金色に塗ることもあり、価値や威信を否が応でも高めるものでした。


ペルシャ絨毯のオレンジ色
欧米では、オレンジは娯楽、型にはまらない、外交的な、火事、活動、危険を意味する色です。一方、アジアでは仏教とヒンドゥー教の象徴的な色でとても重要です。ペルシャ絨毯でもこの精神的で瞑想的な色合いは、献身、謙虚さ、敬虔さを表しています。

 

染色は赤と黄色の色を混ぜ合わせて発色していました。


ペルシャ絨毯のベージュと白
白は一般的に純粋さ、無垢、清潔さに関係しており、ペルシャの職人にも同じ意味でもたらされています。

 

白やベージュの色合いは、単に未染色のウールの色であり、地域やウールの品質によってわずかに違いがあります。