結び
織り手が一本一本結び目(ノット)を作って織り上げています。一列終わると横糸を左右から交互に入れて、鉄ぐしでパイルを強く叩き目を詰め、パイルを形成します。ペルシャ結び(ダブルノット)とトルコ結び(シングルノット)が一般的です。
ペルシャ結びは1本の縦糸にの周りを一本のパイル糸でS字形に結びます。指先で結ぶので指の細い女性が織ることが多く、構造上曲線美の優雅な図柄を織られることが特徴です。この織りはイラン及びイラン東部、中国、インド、パキスタンなどで多く用いられています。
トルコ結びは二本の縦糸の周りを一本のパイル糸で左右対称に結びます。かぎ針(フックバフテ)を用いて織るので男性でも織ることができます。結びもペルシャ結びより2〜3倍早く織ることができますが、構造上直線的なモチーフや幾何学文様が織られています。トルコ、コーカサス、イラン西部などで見られますが、長い歴史や民族支配などにより、分布は曖昧です。
シルクで有名なクムの絨毯はノット密度(1㎡あたり)が平均でも60万ノット、それ以上100万ノットの最高級の絨毯もあります。高密度のノットで精密なデザインが可能となり、数カ月から数年かけて織り上げます。ギャッぺのノットは4〜17万ノットと、かなりざっくりと織られているのがわかります。それは羊毛の太さによるものだけとは言い切れません。ノットの細かさは絨毯の価値を判断する一つではありますが、それが全てではありません。色使いやデザイン、受け継がれてきた感性の模様、風合い。それは他と比べるのではなく、それぞれの価値があります。